記事一覧

ファイル 588-1.jpg

2011年2月。琵琶湖の離島へ行くには、どうしても船が必要だが、免許もお金も無い。
maikyさんと知恵を出し合い、免許の要らない3万円弱のエレキボートを検討する。
しかし、沖の白石へ行くには、バッテリーが持ちそうに無い。切れたら漕ぐしかない。
それならいっそのこと、初めから漕ぐカヤックを探すが、10万円以上は当り前(高けぇ)。
もっと安いものはないかとネット検索すると、インフレータブルカヤックという名の、
実質オモチャのゴムボートを見つけた。8990円(送料込み)。これなら買えるぞ。
ダメもとで、これを私が先に買いますので、試して使えないようだったら、
その後に、maikyさんが良いボートを買って下さい。そういう感じになりました。
結局はオモチャのカワニナ丸を最後まで本格使用。maikyさんはボートを買わずで終了。
何か私は損したような。こんな冒険しなくても、本当は良かったような。複雑な心境…。

ファイル 588-2.jpg
カワニナ丸の全16記事。
2011年02月19日 カワニナ丸
2011年03月01日 カワニナ丸の進水式
2011年03月02日 伊崎磯
2011年03月08日 奥の洲
2011年03月30日 3人で奥の洲
2011年05月07日 菅浦
2011年05月08日 小島
2011年05月10日 竹生島
2011年07月05日 カワニナ丸で沖の白石!(前編)
2011年07月07日 カワニナ丸で沖の白石!(後編)
2011年07月19日 カワニナ丸で多景島!(前編)
2011年07月22日 カワニナ丸で多景島!(後編)
2011年08月15日 カワニナ丸で葛篭尾崎!
2011年08月30日 カワニナ丸で沖島!(前編)
2011年09月01日 カワニナ丸で沖島!(後編)
2011年09月14日 カワニナ丸で塩津湾東岸!

カワニナ丸の全航行記録
場所航行日搭乗者距離
伊崎磯2011年02月27日maikyさん、西村約02.50km
奥の洲(3洲)2011年03月06日タロベエさん、西村約02.00km
奥の洲2011年03月27日maikyさん、タロベエさん、西村約02.50km
小島・竹生島2011年05月03日maikyさん、西村約09.50km
菅浦2011年05月03日うなたろうさん、ペイルさん約00.50km
琵琶湖北部2011年05月03日うなたろうさん、西村約00.25km
沖の白石2011年07月02日maikyさん、西村約14.25km
多景島2011年07月17日シゲさん、西村約11.20km
葛篭尾崎2011年08月14日maikyさん、西村約10.00km
沖島2011年08月27日シゲさん、西村約12.25km
塩津湾東岸2011年09月11日タロベエさん、西村約06.00km
目的達成約6ヵ月半計6人計70.95km
私が2人もしくは1人で航行した距離は計69.35kmでした。よくやったわ(笑)。

ファイル 588-3.jpg
危険度ランキング!

「沖の白石」■■■■■■■■■■ 100
湖岸から沖の白石までの5.5kmは陸地なし。行き1時間40分。帰り風波で4時間15分。
06時30分~14時45分まで飯無し。背もたれ壊れる。底部分から空気が漏れる。
手がふやけて皮膚が割れてパドルが握れない。三角波とうねりで船内に水が入ってくる。
水上警察隊に怒られる。太ももは火傷に近い日焼けで、皮がめくれ3週間も痛みが続く。
顔はただれる。左目の痙攣に気付いて、病院は2つも行った。完治まで2ヶ月掛かった。

「小島・竹生島」■■■■■■■■■□ 90
左肩の筋肉を傷つけてリハビリ中で漕ぐと痛い。水温10.1℃。転覆は死を意味する。
黄砂で視界不良。胴長で滑って体の7割がびしょぬれ(寒)。カワニナ丸の空気が抜ける。
この水温で転覆したら、沖の白石よりも、命が助かる確率は、低かったと思われる。

「沖島」■■■■■■■■□□ 80
カワニナ丸は満身創痍。06時35分~18時15分は漕ぐと潜るの繰り返し。12時間飯抜き。
雷鳴が聞こえ、高波と強風に煽られ、竜巻を目撃。シゲさんが車上荒らしに遭う。

「多景島」■■■■■■■□□□ 70
湖岸から多景島までの5.3kmは陸地なし。左目が痙攣。行き2時間5分。帰り1時間50分。
沖の白石で穴の空いた底部分はそのままで航行。島を守る尼さんがちょっと怖い。
多景島では足ヒレを忘れて靴のまま潜水。補修キットは使い物にならず。帰りは横波。

「伊崎磯」■■■■■■□□□□ 60
左肩の筋肉を傷つけて漕ぐとかなり痛い。未経験の2人。冬の2月で水温10℃以下。

50以下は「奥の洲(3洲)」「奥の洲」「琵琶湖北部」「葛篭尾崎」「塩津湾東岸」。

ファイル 588-4.jpg
カワニナ丸ことインフレータブルカヤックK-10取扱説明書を改めて読んで笑った。

「ご使用上の注意」
▲沖合や岩場など危険なところでの使用は避け、遊泳場等の安全な所でご使用ください。
▽沖合や岩場など危険なところでのみ使用し、遊泳場等の安全な所では使用していません。
▲風の強いときは使用しないでください。風や波に流され危険です。
▽使用しています。危険なのはよーくわかりました。
▲荷物などを乗せないでください。
▽荷物を乗せずに航行したことはありません。
▲けがをされている方は使用しないでください。
▽けがをされていても使用しました。
▲空気の入れすぎは破損の原因になります。外周部にシワが少し残るくらいが適量です。
▽シワがなくなってパンパンになるまで入れていました。
▲炎天下に置くと本体が柔らかくなる場合がございます。本体の圧力状態には十分ご注意
▽柔らかくなってやばかったことがありました。炎天下ではどう注意すればいいんだろう。
▲必ず付属のポンプを使用し、注入口に表示された番号順に空気を入れてください。
▽フットポンプ2つ使ってました。番号順は守ったり守らなかったりでした。

「禁止事項」
▲釘やくい、砂利、貝殻、ガラス片、金属片、木片、等、とがったものとの接触。
▽買ったその日に砂利の上に置きました(爆)。その後もトゲトゲの岩礁に(笑)。
▲雨、強風、等悪天候の場合や夜間の使用。
▽雨、強風、等悪天候の場合や夜間に使用しました。
▲急流や岩場、座礁する危険性のある場所、寒冷地、波の高い場所、などでの使用。
▽岩場は当り前のように。波の高い場所はたまに。
▲口での空気注入。
▽maikyさんとシゲさんとタロベエさんがやってました(笑)。

▲必ず本書をお読みいただきご理解のうえご使用いただけますようお願いします。
▽これを守ったら、離島なんて行けないので、自己責任で無謀な使い方をしました。

これからインフレータブルカヤックK-10を買おうと思っている方は、
絶対に真似をしてはいけません。私たちが死ななかったのは、運が良かっただけです!

ファイル 588-5.jpg
写真は片山で、廃船となったカワニナ丸です(物悲しい)。廃船の理由は2つあります。
琵琶湖の車で行けない湖岸と離島の全てで、カワニナ採集をして、目的達成したこと。
沖の白石から戻った時点で、満身創痍なカワニナ丸を無理やり使い続けていて、
今の状態では、どう補修しても、沖の白石へ行くことは、不可能だと思ったことです。

この約6ヵ月半で、カワニナ採集の成果も出て、色々なことを経験して学びました。
沖の白石は恐ろしい。太ももの日焼けを甘く見るな。車上荒らしに気をつけろ。等々。
特にカワニナにそれほど興味のない、シゲさんとタロベエさんが、命懸けを覚悟で、
カワニナ丸に付き合ってくれたのは、とても嬉しかったですし、心強かったです。
良い仲間を持って幸せだと思いました。これからも命の提供よろしくお願いしまーす(笑)。

カワニナ丸で航行する前に、死を意識して、遺書を作ったりしたことはありましたが、
乗っているときは、1度もありませんでした。しかし、カワニナ採集では2度あります。
1つは昨年のモリカワニナ採集で、垂直の高いコンクリート湖岸の上に、波しぶきが
届く高波。琵琶湖へ入ったmaikyさんを見たら、木の葉のようにくるくる回っていました。
そこを計1kmほど泳いで潜水採集。波に揉まれて息もままならない。死ぬかと思いました。
もう1つは、昨年10月11日に海パンで潜り、水深約5.5mでたも網で砂泥を掬い過ぎ、
重さと水の抵抗でなかなか浮上出来ず、水面まで約1.5mのところで呼吸の限界越えました。
あっ死んだと思う瞬間がハッキリありました。この時「おれアホだな」と思って笑顔に。
死んでいたら笑顔のドザエモン。これ以後はトラウマになり、5m以深は潜れていません…。

第二カワニナ丸の購入を検討していたのですが、maikyさんによると動力付きゴムボートが、
手に入りそうだということなので、とりあえず、それを待ってみようと思っています。
目的達成してまだ行くのか?と思われそうですが、沖の白石と小島での採集は、
まだちょっと納得行かないところもあるため、どうしても行くには船が必要なのです。
写真のカワニナ丸はゴミではないので持ち帰りましたよ。家の魚小屋で秋眠中です。
冬に目覚めて忘年会で使うとか? 近場ならきっとまだ何とかなります(本当か?)。

遠征に付き合って下さったmaikyさん、シゲさん、タロベエさんには本当に感謝しています。
私だけであれば、無茶し過ぎて、死んでいたことでしょう。危険度ランキング60以上は、
サイコロの目に「死」は絶対にあったと思います。それがたまたま出なかっただけです。
同じことをもう1回やったら、きっと「死」の目が出ると思います。大冒険でした。
カワニナ丸に搭乗した方以外にも、コメント投稿でアドバイスや応援を頂き、
とても参考と励みになりました。厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
最後に、おつかれさまカワニナ丸!! そして、カワニナ丸は安物買いの銭(命)儲けでした!!!

コメント一覧

タロベエ - 2011/09/30 (金) 17:39 edit

こんばんは。
カワニナ丸のコキ使われようが一目でわかる記事でカワニナ丸が可哀想に思えてきた(笑)。
>▲口での空気注入。
>▽maikyさんとシゲさんとタロベエさんがやってました(笑)。
これは間違いで頼むからやって~のオーラは現地でヒシヒシと伝わってきましたよ(爆)。

今年も後何回採集をご一緒出来るか解りませんが、またお誘いくださいね。もちろん来年も(笑)。

西村 メール - 2011/09/30 (金) 19:30 edit

タロベエさん。コメントありがとうございます。
コキ使うって買ったからには、8990円分は使わせてもらわないと。
口での空気注入はやって~というよりは、なんで3人がやっているのに、
私は1回もやっていないんだというところが面白くて(笑)。明日ウナギ釣り行きますか?
百年後もお誘いしますよ。三途の川でずっと魚やカワニナ捕りしてますので、現地集合で!

かっちゃん メール URL - 2011/10/01 (土) 09:41 edit

ついにカワニナ丸が引退ですか。
たかが道具と言うことなかれ、共に死線を越えた戦友のようなもんですね。
それにしても、半年そこらでアチコチ行ったものですなぁ。
カワニナ丸に、お疲れさまです。

スギタ - 2011/10/01 (土) 20:25 edit

70kmだけでも凄いと思うのですが、
ここまで取扱説明書に逆らって使用しているのに、
がんばったカワニナ丸というかこのカヤックは
素晴らしい商品なのではと思いました。
販売会社がこのブログ読んだらびっくりしそうですね〜(笑)

シゲ URL - 2011/10/01 (土) 23:02 edit

いやはや、カワニナ丸お疲れ様でした。
2回しか乗船はしていませんが、2回ともそれなりの危険度の高さでしたね(笑)
カワニナ丸の大変さを甘く見ていて、初体験を終え・・・
1回目で「万年補欠でいいです」と言っていたのに、
気が付いたら2回目乗ることになっていたのは上手いこと西村さんの口車に乗せられたんだと思いました(爆)
興味があったと言えば嘘になりますが、まったく興味がなかったわけではなかったですよ(笑)
自分が参加するまでのブログでのカワニナについてや、ペイルさん達と入水して採集していたときに
「琵琶湖ってなんでこんな変なカワニナがいっぱいおるんやろか」
と思ったものですから。
おかげさまで、岡山でも無意識にカワニナを探してしまいますよ(笑)
大体チリメンカワニナでしたけどね・・・
来年はどうなるかわかりませんが、カワニナ採集はまたやりたいです。
今度は命がけにならないのがいいなぁ・・・

maiky - 2011/10/01 (土) 23:33 edit

カワニナ丸さ〜ん、お疲れ様でした。
総距離凄いことになってますね〜!我々の命を無事に帰してくれてありがとう!
(本当は西村さんのお陰で命があるようなものです、感謝)
シゲさん、一回目あれで、二回目よくチャレンジしましたね。尊敬します。
私的には沖島が1番かと(笑
西村さん、動力付きは話し半分で待ってみて下さい(爆

西村 メール - 2011/10/03 (月) 07:12 edit

コメントありがとうございます。

かっちゃんさん。戦友ですね。物に気持ちを入れ過ぎると、危険な状態になっても、
まだ使えると、補修して沖の白石へ行きそうなので、物として扱うようにしました。

スギタさん。6ヵ月半で使えなくなるという点では、早いかなという気もしますが、
無茶苦茶な使い方に耐えて、目的達成したので、素晴らしい商品だと思います。
販売会社はぴっくりするでしょうね。良し悪し丸出しなので、どう思われるだろう…。

シゲさん。本当にシゲさんはよくやったと思う。maikyさんともそう話してました。
勇気・体力・気力の全て尊敬できます。2人で23kmも漕いだ。お爺ちゃんになっても、
自慢できることだと思います。カワニナとチリメンカワニナは隠蔽種群のようなので、
なんだチリメンかと言わず見て下さい。下流域から汽水域だとクロダもいるかも。
来年ねぇ。今年の11月も私は潜るつもりです。よかったら一緒にどう?(笑)。

maikyさん。2人で普通に漕いで、歩行者と同じスピード。それが70km。すごい距離です。
命を落とすかもしれないという覚悟はありましたが、落とさなかったのは、
カワニナ丸の能力はもちろん、maikyさんや皆さんのお陰だと思っています。
日淡ではここまで危険だったことなかっただけに、すごい経験をしました。
キツサでは、紀伊半島1周を超えるものは、今のところないですが…。
沖の白石はまさに化石(ばけいし)でした。次は漕がずに連れて行って下さ~い。

琵琶湖さんにも感謝です。命とりしないでくれて、ありがとーう。

ryu-oumi - 2011/10/03 (月) 10:53 edit

>私たちが死ななかったのは、運が良かっただけです!
 いや正にその通り(笑)。記事を読んでいて実感致しました!
なんと言いますか、勇気と無謀の中間というよりも
無謀と自殺の中間くらいの冒険でしたね~
何が凄いって、死者が出なかった事でしょね~
ここまで使い切られたのなら、かわにな丸も本望かな?
西村記念館が出来たらならば、
きっと正面ホールとかに展示されますね~

Mocchy - 2011/10/03 (月) 18:40 edit

カワニナ丸…すごい
すごい危ない笑


先日知り合いと宮崎へ行って参りました
イシヨウジ、トビハゼ、ヒナハゼ、赤いヒレのアベハゼ、カワスナガニなどなど大漁で興奮しました

汽水水槽も新しく立ち上げたのでまた遊びに来てやってください笑

珍魚庵管理人 Mocchy

プロスト - 2011/10/05 (水) 23:58 edit

西村さん、カワニナ丸、ご苦労様でした。

ゴムボートで琵琶湖の離島をすべて征服したのは西村さんが初めてだと思いますよ。植村直己の冒険に匹敵する偉業だと思います。やっぱり研究と言うのはそこまでしないとダメですよ。若い研究者たちにも見習って頂きたいものです。

私は川や汽水域で魚を見る時は「ケルシウス・フローティングハンモック」を愛用しております。この上に腹臥位となり手足を出して泳いで移動しながらスノーケル付マスクをして魚を見ると非常に楽チンです。超お奨めです。

私も時々眼瞼痙攣になります。ストレスが原因と思っておりましたが、ひょっとすると潜水し過ぎなんでしょうか?。もはや職業病?。

何はともあれ、これからも西村さんのご活躍を楽しみにしております。永くご活躍頂くためにもお体にはお気を付け下さい。

西村 メール - 2011/10/06 (木) 07:32 edit

コメントありがとうございます。

ryu-oumiさん。無謀と自殺の中間は当たっていますね。幸い死者は出ませんでしたが、
最悪の事態も十分に考えられたので、何かあったら一生責任を負っていたかも。
西村記念館の正面ホールにはカワニナ丸。外は龍安寺の石庭風で、沖の白石を作ります。

Mocchyさん。危ないです。イシヨウジは塩分17‰以下の汽水域では見たことが無いです。
よかったら写真掲示板に貼ってやって下さい。貴ブログはまた拝見させて頂きます。

プロストさん。こそばゆいくらい誉めて下さり、助言や応援にも感謝です。
私は冒険家ではなく、カワニナ病の採集家なので、本当は楽に目的地へ行きたいのですが、
先立つものを揃えるお金がなく、ドケチなので無茶苦茶な採集になってしまいました…。
フローティングハンモックよさそうですね。汽水域はまだ潜ったことがないため、
今月できれば潜りたいなぁとは思っています。左目は2つの病院で眼瞼痙攣でしょうかと、
尋ねたのですが、それとは違うそうです。結局は精密検査せず、原因不明で終りましたが、
どうも潜水の繰り返しで、目の奥に空気の膨らみができ、それが眼球を押しているかもと。
潜水が原因であることは間違いなさそうです。ちなみに、一緒に潜ったmaikyさんは、
沖の白石で鼓膜を壊し、耳鼻科通いになったそうです。プロストさんもお気をつけ下さい。