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沖の白石からカワニナ丸へ乗ります。私は行きとは逆の前部座席へ。
凪であれば、後は帰るだけだし、潜水で疲れたし、のんびり行きましょう。と思うかも。
しかし、今回は違います。11時過ぎたら風速7m。私はそのことで頭が一杯でした。
現在10時30分。もう来る時間です。天気予報が外れてくれることを祈りたいところですが、
風は徐々に強まっています。もっとも、風速7mは陸上での予想。ここは何も無い湖上です。
更に困るのが、風向きです。我々はこれから北西へ向かうのですが、風向予想は北北西。
ほぼ向かい風なのです。それを直線距離で5.5kmを漕ぐのだから、考えるだけでもウツデス。

ブログのトップ画像を変更しようと、沖の白石とカワニナ丸の画を撮影したのですが、
波にゆられて、うまく撮れません。こんな波のある画像では、気持ちが落ち着きません。
現在のトップ画像と見比べて下さい。違いが判ると思います。私たちの想像では、
土曜なので、観光船、漁船、バスボート、カヌーは、沖の白石へ来ると思っていました。
06時30分~10時30分まで、ずっと沖の白石を見ていましたが、1艘も来ていません。
こんな風の出るとき、沖の白石へ行くアホは、我々だけでした。しかもカワニナ丸で(爆)。

沖の白石を出て、行きの感覚で漕いでいると、まだ横に沖の白石があるのです。
ほとんど進んでいない。そおか。行きは弱い風だったが、むしろ風に助けられていたかも。
今度はその逆か。それでも「進まなきゃ 勢いを増した 向かい風の中を♪」北斗川蜷拳。
「お前たちはもう死んでいる」そのとおーり。とにかく「漕いで 漕いで 漕いで~♪」もず。

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写真は、左下11時07分、上11時32分 右下12時49分です。
12時前後が最も風波が強かったのですが、撮影する余裕がありませんでした。
というのも、うねりと三角波が何度も襲って来て、それをパドルで捌かないと、
カワニナ丸の中に水が入って来るのです。手を休めることが出来ないのです。
そうした波を乗り越えたときは、ドタンとカワニナ丸が水面に落ちます。その連続です。

何もしないと、目的地とは逆方向へ、押し戻されるので、力強く漕がないといけません。
それでも私の漕ぎでは「3漕ぎ進んで 2漕ぎ下がる」という感じ。それでも漕ぎ続けます。
軍手をしていたのですが、水に浸かりすぎて手がふやけ、右手は2本、左手は3本以外は、
皮膚が割れて、激痛が走り、パドルが握れなくなってしまいました。そのパドルも、
私が力一杯に漕ぐため、アルミの柄が弓なりに曲がってしまいました(初めてです)。

こうなるとmさんが頼りです。mさんだけが漕ぎます。水面を見ると波の泡があります。
その泡の位置を見ていると、ぜんぜん変わらないのです。全く進んでいないのです。
おそらく、赤ちゃんのはいはいスピードか、止まっているか、戻っている感じなのです。
しかも、うねりと三角波は、後部座席からは確認し辛く、カワニナ丸に水が入って来ます。
もう私のお尻は水たまりです。最低でもうねりと三角波は、私が捌かないといけません。
右手2本と左手3本で、弓なりに曲がったパドルを持ち、休むことなく波を捌きます(痛)。

この11時30分~12時30分の1時間は、ほとんど進んでおらず、やや西へ移動しています。
それは、北西に向かうとき、北北西の風だからです。進行方向の僅かに斜め右から、
風波が当たると、船体は左へずれます。すると、徐々に西へ移動してしまうのです(あぅ)。

黒い雲も怖いです。こんなところで雷だと直撃です。早く戻らないといけません。
しかし、一生懸命に休まず漕いでも進まない。mさんがとうとう壊れ始めました。
愚痴の連呼。風行に任せて、対岸の彦根市へ行こう、と言い出す始末。
その気持ちはよーくわかります。その方がおそらく楽に岸へ着くことは出来ます。
漕ぐときも変な声になり、mさんは心が折れたようです。警察に救助要請しそうな気配。
それは納得できません。私の指は痛いが、絶対に俺が北船木へ連れてってやる。
そんな強い思いが湧きあがって来ました。変な力がみなぎって来ました(燃)。
mさん休んでいて下さい。こんな指なんか痛くねぇ。無視だ。黙って漕ぎ続ける。
「君の行く道は 果てしなく遠い だのになぜ」それは負けず嫌いだからかも(笑)。
風波ごときに負けて堪るか。13時頃から、少し風波は弱まり、進むようになりました。

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13時34分。tさんからの電話。本当ならばとっくに岸にいる予定だったのですが…。
まだ琵琶湖の上にいま~す。確実に遅れるので、また連絡します。すみません。
13時50分。岸まで2kmを切ったくらいだろうか。今まで船類なんて全くいなかったけど、
大きな船が近づいてくる。レーダーを搭載し、予備艇も備えている。水上警察隊だ。
すぐ近くに来て、あきれた顔をして、話し掛けて来た。
警察:どこまで行って来たんだ。
西村:白石です。
警察:(苦笑)。風強かっただろう。でも戻ってこれたんやな。
西村:はい。
警察:この船でも、風吹いたら怖いのに、よう行ったなぁ。
警察:あのなぁ、こういうボートは、岸近くで遊ぶものや。
西部:ゴールデンウィークは、竹生島へ行きましたし、大丈夫です。
警察:ゴールデンウィークは、同じようなことして、死に掛けてた人いたわ。
などと、約5分ほど、ありがたいお説教。ご心配お掛けしました。任務ご苦労様です。
実は琵琶湖で警察に怒られたのは2度目です。1度目は本当に死ぬかと思うほど危険でした。
でも、私は水上警察隊の世話にはなりません。風波が一番強いときに来てくれていたら、
mさんが助けを求めたかも。というか、ほっておけないから、強制救助されていたと思う…。

そんな水上警察隊も遠くへ行き、まだまだ漕がねばなりません。
ぼんやりしていた岸も、はっきりと見えるようになりました。あーっと思いました。
この先にあるのは、出発した北船木じゃないやん。南船木だよ(爆)。
沖の白石を出てから、目的地の北船木が私にはどこなのか、わからなくなっていました。
mさんに聞くと、あの白い橋の右だよと言います。これ実際には違っていたのです。

その橋の架かる安曇川は、琵琶湖に注ぐ付近で、北流と南流の2又に分かれます。
我々が出発した北船木は、北流に架かる橋あたりに位置します。
しかし、今まで目指していたのは、南流に架かる橋で、南船木だったのです。
北船木よりも約1.5kmも南に向かって、ずっと漕いでいたのです(ガーン)。

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北船木と南船木を間違えたのは、mさんの責任ではなく、私も行きに振り返らずに、
場所を覚えていなかったので、私にも責任があります。間違えても、漕ぐしかないのは、
確かなので、気持ちを切り替えて漕ぎます。岸が近づいてからが、また遠いんだ。
河口付近は土砂で、浅場がいくつかあって、それを避けながら進まないといけない。
でも、浅場ほど岸へ打ち寄せる波で、カワニナ丸が底を擦って、上陸しそうになる。
もう体力的に2人ともへとへと。mさんは何度も岸へ上がって、歩きましょうと言う。
実際には、岸も障害物があったり、川が4本もあるので、歩けないんです。
それにここまで来て、北船木へ戻れずに、止めるみたいで、納得できないんです。

何とか北船木の浜が見えてきました。ここまでこれば湖岸を歩いて行くことも可能です。
まぁちょっとインチキだけど、ここから歩きますか?と、mさんに言うと、
ここまで来たのだから漕いで行きましょうと。おおっ。思いがけない返答で燃えました。
それでこそmさんですよ。あと100m、50m、10m、あの木のところです。着いたーっ!!
ザバーン。波でカワニナ丸が岸に打ち上げられる。底を擦っている。早く降りねば。
mさんが先に降りる。後ろへ転倒。ドバーン。私が降りる。早く陸にカワニナ丸をっ。
2人で持ち上げるが、船内に水が入っているため重いし、簡単に折れ曲がる。
よしっ。もういいだろう。ヤッター!! (体力と精神的に、大はしゃぎできない)。

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沖の白石10時30分→北船木14時45分。4時間15分の漕ぎまくり!!! 帰りは遠回りだけど、
行きは1時間40分なので、どんだけ風波にやられたか、この時間でわかると思います。
飯も食わず、ポカリ900mlなんて、とっくの昔に飲み切った。これでよく動けたわ。

tさんを待たせたら悪いので、車までカワニナ丸を持って来て、早く空気を抜きます。
その時あることに気付く。底部分の空気が抜けて、張りが無い(汗)。いつこんな状態に?
写真右上が出発前。左上が到着後。浜で擦ったときかな。穴が開いているところを探す。
見つからない。空気を入れる。漏れていない感じ。そういえば、船内に水がだんだんと、
入りやすくなった。必死に漕いでいるのに、推進力がだんだんと悪くなって行った。
ここで結論。波の突き上げと落下を繰り返した衝撃。大人2人が計5時間55分も乗ったので、
少しずつ空気が抜けた。体力と精神がきつくなる後半ほど、空気の抜けたカワニナ丸は、
推進力を失い、我々を苦しめた…。ようこれで戻って来れたわ。戻ってから怖くなったわ。

今回の航行予定は 北船木→沖の白石→北船木 (片道5.5kmで往復11km)でしたが、
実際は 北船木→6.5km→沖の白石→7.75km→北船木 (往復14.25km)でした(爆)。
総括すると、カワニナ丸で沖の白石へ行くことは難しくない。危険なのは風波である。
よって、風のある日は「ダメ。ゼッタイ。」 カワニナ丸の乱用は止めましょう。
多景島、沖島、葛篭尾崎、塩津湾まだまだ行くでぇ。風速4m以下のときにね(マジデ)。

北船木を後にし、ミミズ掘りして、もう夕方。tさんとこんにちは。mさんは帰路に(乙)。
ルアーを投げるが、1回だけビワナマに食われた。ルアーの目が1つ無くなった(返せっ)。
暗くなってペットボトル釣法。ギルしか釣れない。ビワナマだけでイワトコおらへん。
別の場所へ移動。ここもいない。初めての場所へ移動。普通のとビワナマはいた。
ここでペットボトル釣法。7月3日01時45分。釣れないし、tさんに任せて、私はもう寝る。
朝にtさんから起してもらい、そこから何々ドジョウ捕り。体力はまだあるのだけど、
太ももの日焼けが、熱を持って火傷に近い。ズボンと擦れるとかなり痛い。
あまり動けず、13時過ぎに解散。一般道で家へ帰って、シライシとチクブを撮影。

シライシはやっぱりハベだなと思った。誰だこんなの記載した人は…。
シライシさん? シノニムさん? ニシムラさん? 貝屋じゃなくても、あんなところにいたら、
新種にしたくなるよね。わかるんだよね。その気持ちは。離島の採集はロマンだね。
私は冒険がしたいわけではなく、楽に捕れるなら、それでいいんですけどね…。

日焼けで、顔の皮がぼろぼろ落ち、今日になって、ようやく全て剥がれ落ちました。
太ももはまだ痛いです。日焼けをなめてました。次は日焼け対策万全で行くぞっ!

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ryu-oumi - 2011/07/07 (木) 08:55 edit

今回の感想(と言うか毎回のか?)・・・
ジャンクルに行かなくても冒険はできる!(笑)
2時間スペシャルくらいの番組になりそうですね~
>多景島、沖島、葛篭尾崎、塩津湾まだまだ行くでぇ
しかも↑シリーズ化決定ですしね~(笑)

maiky - 2011/07/07 (木) 11:24 edit

西村さん、こんにちは。
今回も西村さんのお陰で無事命を携えて帰路に着けました(多謝
脚の日焼けは完全に火傷ですよね(まだ痛い) タイツ要りますね。
西部警察は突っ込み処ですかね(笑
tさん、栄養ドリありがとうございました。
物凄く体が楽になりましたよ~(感謝

スギタ - 2011/07/07 (木) 13:59 edit

お疲れさまでした。読んでいて、行程を含めかなりハードな採取でお二人が心配でしたが、
段々とカワニナ丸の方が心配になってきました(爆)

タロベエ - 2011/07/07 (木) 15:07 edit

こんにちは。
疲れた体に鞭打ってミミズまで用意して下さった西村さん、maiky(mさんor mさん)さんに感謝しております。
夜西村さんがお休みになられていた姿がツタンカーメン風だったのが、僕の中でちょっとした笑激。
後半の記事を書き終えた所で、番外編の日焼けで苦しむ記事なんかはどうでしょう???(笑)。

西村 メール - 2011/07/08 (金) 00:12 edit

コメントありがとうございます。

ryu-oumiさん。2時間スペシャルの際は、大蛇の用意お願いしますね。
潜れる期間は短いので、一気にシリーズは進みます。生きていたら、次回をお楽しみに。

maikyさん。こちらこそ、推進力とは違ったパワーを、たくさん頂きました(多謝)。
日焼けの火傷はいつになったら治ることか。今回はこれが一番きつかったことかも…。

スギタさん。ご心配に感謝です。カワニナ丸はもう寿命かなと思っています。
第二カワニナ丸を購入しようか迷うほど。おもちゃを本格使用したらアカンですね。

タロベエさん。私もお疲れ様の気持ちのこもった、栄養ドリンクで楽になりましたよ。
男の足を載せる記事は嫌です(笑)。先祖は城代家老の前は、ツタンカーメンだそうです。

かっちゃん メール URL - 2011/07/09 (土) 11:52 edit

こんにちは。

前に琵琶湖博物館の床に書かれた琵琶湖の地図を、maikyさんと一緒に見た記憶があります。
白石はずいぶんと遠いなーと思っていました。
ホントに行ってきたんですね。
これを冒険と言わずして、何を冒険とするって感じです。
〇〇の大冒険ってタイトルで何か作ってみては?(笑)

西村 メール - 2011/07/10 (日) 09:57 edit

かっちゃんさん。コメントありがとうございます。
わかって下さいますか。この大冒険を(笑)。でも、私の下手な長文では、多くの方には、
イマイチ伝わらないみたいです。まぁ冒険記ではなく、カワニナ採集なので、
別にいいのですが、やっていることは、普通は理解できないほど危険だと思いますが。
体重は沖の白石から戻って2.5kg落ちました。1週間経っても日焼け痛に苦しむ日々です…。

渡辺謙司  - 2011/07/11 (月) 15:20 edit

カワニナ丸の無事帰還、採集成功おめでとうございます。
後編の風と闘う姿を想像しながらふと閃いたのですが。
次の白石航海では、やっかいな風を利用して下さい。
手に持って広げたレジャーシートを帆にすればスイスイと。
無風時もあるので極力余分な荷物にならないよう常備品を利用して。
つたない案ですが形にできる西村さんの力に期待して応援します。

西村 メール - 2011/07/12 (火) 00:10 edit

渡辺謙司さん。コメントありがとうございます。
ご提案と応援に感謝致します。レジャーシートですか。荷物は食事を積める余裕がなく、
飯なしで行きましたので、シートは積めないかもです。ヨットみたいな感じにすれば、
かなり進んだと思いますが、うねりと三角波を、パドルで捌かないと、
カワニナ丸の中に水が入ってきて…。それと向かい風だと、反対岸に着くと思います。
私も風対策は考えないといけないと思っていますが、風がありそうなときは行くな
というのが、一番かなと思いました。それでも風が出たら、ひたすら気力で漕ぐ…。

これまで、カワニナ丸の記事で、皆さんのコメントを頂いて、何となくわかりました。
私の文章はかなり下手だ。ぜんぜん伝わっていない…。mさんごめんなさい。