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はじめに

日本にカワニナ科は全18種3型(20種類)が知られる。 タケノコカワニナなどのトウガタカワニナ科(トゲカワニナ科)は、 分類は上科から異なる、似て非なるものであるため、本図鑑では扱わない。 2010年にmaiky氏と共に未記載種と思われるコセイカワニナを発見し、 カワニナ科は全19種3型(21種類)となった。 S先生には快く多くの情報を頂き、同定等で度々ご指導を賜った。 本図鑑にはS先生の意見を多く取り入れている。厚くお礼を申し上げる。

カワニナ科の種類を調べる際に、現状ではインターネットか文献2と想像するが、 S先生にご教示頂いた情報や、自ら知見を深める度に、先人の業績は偉大だと思うと同時に、誤情報を広げていることも判って来た。 そこで誤りを指摘し、新知見を加えた、日本産カワニナ科の簡易図鑑をここに制作した。 筆者は貝類の知識に乏しく、根拠の低い内容、誤同定やその他の不備があること、ご理解とご容赦を頂きたい。 中間型など同定が困難な個体は、未同定とはせず、最も可能性が高い種類へ含めた。 本図鑑は新知見や不適当なことが判り次第、随時変更している。



●分類
文献1のsp.1〜8は クロカワニナフトマキカワニナタテジワカワニナオオウラカワニナタケシマカワニナシライシカワニナナンゴウカワニナホソマキカワニナとして扱った。

●写真
写真名(例)「Fb016001.琵琶湖北湖(北岸西側)産」は、 F(種類)、b(水系)、016(採集地点)、001(写真番号)。 水系のbは琵琶湖淀川水系の影響が強い水域で、それ以外(琵琶湖淀川水系から遠い流入河川を含む)はaとした。 詳細な採集地点は非公開。vは動画の意。 ファイル名(例)「07-08-20101205.jpg」の20101205は、2010年12月05日に採集(生息地の写真は撮影)した個体を示す。 撮影個体は採集日から3ヶ月(通常は3日)以内の個体である。

●分布

採集調査水域は主に琵琶湖淀川水系で、琵琶湖の岸(水際から沖へ300m程度までの範囲を示し、それより遠くは沖合とする)・内湖・島状地(水鳥の洲、奥の洲、小島、竹生島、多景島、沖の白石、沖島、伊崎磯、矢橋帰帆島)周辺、 流入河川や瀬田川(JR東海道本線鉄橋上流250m付近〜喜撰山大橋)、宇治川(喜撰山大橋〜桂川合流点)、淀川(桂川合流点〜新伝法大橋下流2.5km付近)、旧淀川(大川)、 琵琶湖疏水、余呉湖など、水深8m以浅を中心に行った(未採集箇所を含む)。 琵琶湖淀川水系以外は主に北海道・関東・北陸・中部・近畿・中国地方で行った(未採集箇所を除く)。採集調査は2010年4月から継続中。

琵琶湖北湖(北岸)とは、琵琶湖北湖の長浜市高月町片山〜高島市マキノ町海津を示し、 葛篭尾崎を境に東側と西側に区分した。琵琶湖北湖(北岸)以外の長浜市及び高島市は、それぞれ市及び地区名を記した。 ハベカワニナなど琵琶湖固有種が他地域でも見つかるが、 カワニナ科はゲンジボタルの餌として各地に放流されており、 一時的に多くの種類が確認されるため、移入情報は分布に含めないことにした。

生物の生息地情報は、様々な事情を考慮し、判断する必要がある。 カワニナはゲンジボタルの餌として需要はあるが、 広域分布する普通種で、繁殖力が凄まじく、無尽蔵に生息するような場所もある。 他のカワニナ科を狙う採集者は殆どおらず、 琵琶湖の島状地(沖の白石など)は容易に行けず、採集も夏場に限られ、命の危険もある。 これらから、乱獲の問題性は低いと考え、ある程度の生息地情報を公開している。

●味
水と少量の塩で約2分間茹で、中身を取り出した。 胎殻がある場合は取り除くこともあったが、基本的には全て試食した。

●形態

各部分の名称及び形態解説は、主に文献1文献9に従ったが、 数値や見解が異なるものは変更している。 殻頂を上方、殻口を下方にし、殻口が見える側を表側、その反対を裏側とし、その生体写真を掲載した。 また、胎殻を持つものは、形態・数・大きさなどが分かりやすいよう、親貝と内臓を並べて、撮影するように努めた。

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