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飼育

写真は120cm水槽。カワニナ科の飼育は面白い。 水槽ガラス面の向こう側が見えないほどの付着藻類が、日に日に食べられて無くなった。 毎日のように稚貝が誕生する。稚貝は軟体部を水面へ向け、表面張力で這い、水草などへ移動した。 日本産カワニナ科全21種類を飼育したが、カゴメカワニナは死にやすく、 チリメンカワニナは長生きし、 ヤマトカワニナ3型は高水温にやや強いなどの印象はあるが、種類による大きな差はない。

●餌

雑食だが水槽内では主に付着藻類を食べる。 水温20℃前後は摂食が活発で、個体数が多いと水槽の付着藻類を食べ尽くす(写真右下)。 そのため個体数を調整するか、餌を与える必要がある。写真右上はジャガイモの皮に残った可食部を食べている。 野菜類は良い餌となるが、それだけを与え続けることは、雑食のカワニナ科にとって、餓死の原因になる。 便利なのは鑑賞魚用配合飼料(顆粒)とビール酵母(粉末)である。 他に冷凍野菜類ミックスも良い。これは枝豆・蚕豆・グリンピース・西洋南瓜等を茹でて潰し、ジッパー袋に入れて冷凍したものである。

カワニナ科が高水温以外で死ぬ原因は、餌不足による餓死がほとんどである。 そのため水槽の底は常に餌がある状態にしたい。残餌に水カビは生えるが、小まめに掃除しなくて良い。 水カビが気になるようであれば、取り除いた後で、餌を入れて置く。 水槽の底へ砂を敷くと、砂粒の間に餌が入り込み、摂餌が出来ないため、何も敷かない方が生存率は高い。 魚類(昼行性)と一緒に飼育する場合に、砂がどうしても必要であれば、水槽の消灯前に餌を多量に入れて置くと、 魚類が寝た後で、カワニナ科が摂餌することが出来る。

●要点
●チリメンカワニナが藻類を食べる。
●ナカセコカワニナが藻類を食べる。
●ハベカワニナが藻類を食べる。
●カゴメカワニナが体勢を変える。
●ホソマキカワニナが藻類を食べる。
●ホソマキカワニナが砂底を這う。
●ヤマトカワニナ(結節型)が藻類を食べる。
●モリカワニナが冷凍野菜類ミックスを食べる。

停止
生物捕食者(カメ目、ホタル科、ヒガイ属、コイ、ムギツクなど)と一緒に飼うのは避ける。
水温5〜27℃が望ましい。高水温(28〜33℃)が2日以上続くと弱ったり死ぬ個体が出る。
水換え1ヶ月に1回程度。水7〜10割を水道水(カルキ抜きや水温調節は不要)と交換する。
カルシウム貝殻(マガキ、アサリ、カワニナなど)、死んだサンゴ、魚の骨などを入れる。
餌以外の要点は上記した4つ。カルシウムは溶け出すことで、酸性に成り易い水環境を、中性〜弱アルカリ性する。 また、カワニナ科が齧っている様子も目撃する。苔や付着物に覆われた際は、洗ったり交換すると良い。 飼育開始1〜2週間は、水槽のガラス面に張り付き、餌を食べる様子が見られないことがある。 水質が悪い場合は水換えを行う。そうでない場合は、飼育環境に慣れていないためで、しばらくすると落ち着くことが多い。



モリカワニナ繁殖水槽

2011年8月14日に琵琶湖北岸(西側)で採集したモリカワニナ7個体(成貝)。

0日(2011年8月15日)開始
モリカワニナ7個体(成貝)、ガラス製のM水槽(359×220×262mm)と蓋、水道水(カルキ抜き無し)、エアポンプ式の投げ込みフィルター(使い古したもの)、 カルシウム(マガキとサルボウの貝殻)、オオカナダモ(カワコザラが多数付着)をセットした。

13日(2011年8月28日)
コセイカワニナ(未成貝1個体)とニセマツカサガイ琵琶湖型を追加した。

48日(2011年10年02日)


115日(2011年12年08日)

水槽に投入した全ての生物が生存。加えてモリカワニナは稚貝74個体が増えていた。 その稚貝は産仔直後と思われるものから殻長18mmまで。死貝が見つからないことから、1個体も死んでいないと考えられた。

307日(2012年06年17日)

産仔直後と思われる稚貝が僅かに死んでいた。蓋の無い個体が増えた。

328日(2012年07年08日)

この頃までは、数個体の稚貝が死んだのみで、他は元気で順調に育っていた。

371日(2012年08年20日)終了

2012年07月中旬〜8月中旬に水温が高くなり、 オトコタテボシイガイとコセイカワニナが死亡。 モリカワニナの成貝(親)と未成貝(子)が初めて死んだ。稚貝(子)の死亡も増加。 蓋の無い個体は半数ほどであった。

まとめ 飼育期間371日(2011年8月15日〜2012年08年20日)の管理
水換え1ヶ月に1回程度。水7〜10割を水道水(カルキ抜きや水温調節は行わなかった)と交換した。
掃除水換え時に底へ溜まった残餌を取り除いた。フィルターは2回ほど水洗いした。苔掃除は行わなかった。
水温夏場だけ室内をエアコンで28〜29℃設定。実際の水温は一時的にそれ以上あったと考えられる。
日照直接的に水槽へは当たらない。主に夜の餌やり時に、蛍光灯を点けることがあった。
飼育魚ミナミメダカ3個体及びドジョウ1個体を、短期間ながら一緒に飼育していた。
微小生物カワコザラとウズムシ類が非常に多く繁殖したが放置した。
2日に1回程度。底は常に餌がある状態にした。 観賞魚用配合飼料(顆粒・フレーク)、冷凍野菜類ミックス、ビール酵母(粉末)を中心に、冷凍の赤虫、ミジンコ、イサザアミなども僅かに与えた。
1年余りが経過して、M水槽では狭くて飼育が難しくなり、モリカワニナ繁殖水槽を終了した。 親貝は4個体が生き残り、稚貝は殻長3cmの未成貝まで育った。後半年もあれば成貝になるであろう。 繁殖水槽としては成功と判断できるものであった。 繁殖に大切なことは、高水温を防ぎ、常時摂食できる環境を保つことであった。 これは他のカワニナ科にも利用可能だと考えられる。



●屋外水槽

写真は設置から15年ほど掃除などをせず、屋外に置いているプラスチック水槽。 この水槽ではカワニナが何年も世代交代を繰り返した。 ミナミメダカのために配合飼料などを入れているが、 カワニナはオオカナダモや水槽面に付着した藻類を食べていた。 そこへヤマトカワニナ(結節型)ヤマトカワニナ(肋型)を入れたところ、 カワニナは駆逐されたのか全て居なくなった。

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