ウキゴリ類





第一背鰭と胸鰭で4種を区別できます

ウキゴリ類とはウキゴリ、シマウキゴリ、スミウキゴリ、イサザの4種を指します。 これらは見慣れると比較的に同定は容易ですが、インターネット上の画像には誤同定が散見されます。 4種の計数形質は差が僅かなため、傾向的な特徴ながら、簡単な色だけで同定を試みました。

日本産ウキゴリ属15種
ゴビオネルス科(ハゼ科) Gobionellinae(Gobiidae)
 ウキゴリ属 Gymnogobius
     ウキゴリ Gymnogobius urotaenia (Hilgendorf, 1879)
     
     
     
     
     
     
     シマウキゴリ Gymnogobius opperiens Stevenson, 2002
     
     
     
     
     
     
     スミウキゴリ Gymnogobius petschiliensis (Rendahl, 1924)
     
     
     
     
     
     
     イサザ Gymnogobius isaza (Tanaka, 1916)
     
     
     
     
     
     
     ジュズカケハゼ(シンジコハゼ含む) Gymnogobius castaneus (O'Shaughnessy, 1875)
     ムサシノジュズカケハゼ Gymnogobius sp. 1
     ホクリクジュズカケハゼ Gymnogobius sp. 2
     コシノハゼ Gymnogobius nakamurae (Jordan and Richardson, 1907)
     ビリンゴ Gymnogobius breunigii (Steindachner, 1879)
     ヘビハゼ Gymnogobius mororanus (Jordan and Snyder, 1901)
     ニクハゼ Gymnogobius heptacanthus (Hilgendorf, 1879)
     チクゼンハゼ Gymnogobius uchidai (Takagi, 1957)
     エドハゼ Gymnogobius macrognathos Bleeker, 1860
     クボハゼ Gymnogobius scrobiculatus (Takagi, 1957)
     キセルハゼ Gymnogobius cylindricus (Tomiyama, 1936)
科名 属名 種小名 命名者名 命名年
和名胸鰭基底
の白斑
第一背鰭
後部の白黒斑
分布
ウキゴリ-北海道〜屋久島。琵琶湖にも分布。
シマウキゴリ北海道。青森県〜島根県(日本海側)。青森県〜茨城県(太平洋側)。
スミウキゴリ--北海道〜屋久島。
イサザ--琵琶湖(成魚が沿岸に多いのは4〜6月)。霞ヶ浦と相模湖に移入。
ウキゴリ、スミウキゴリ、シマウキゴリはほぼ全国的に分布し、同所的に見られる可能性もあります。 琵琶湖ではイサザとウキゴリが同所的に見られます。ウキゴリ類4種は似ていますが、独立種で雑種は知られていません。 「新装版山渓フィールドブックス(2) 淡水魚」には、イサザとウキゴリの交雑個体という写真もありますが、 これはウキゴリの特徴が全く出現しておらず、死んで体形や色が変化したイサザと思われます。 ちなみに、骨格系からイサザはシマウキゴリに近縁で、両種の祖先種から種分化したと推察されています。 琵琶湖産アユなどの放流によって、イサザは霞ヶ浦と相模湖で確認されたようですが、 琵琶湖産ウキゴリも各地に移入していることが想像できます。 しかし、ウキゴリはほぼ全国的に分布するため、区別されずに実態は分かっていません。 各地の在来ウキゴリとの交雑や、生態的地位の問題などに懸念を抱きます。

胸鰭基底の白斑
第一背鰭後部の白黒斑
スミウキゴリの白斑は便宜上で、厳密には斑ではなく、かすれた白模様です。

胸鰭基底に白色の斑や帯があれば、シマウキゴリと同定できます。 ない場合は第一背鰭(2つある背鰭の頭に近い方)の後部の色を確認します。 ウキゴリは白黒斑が両方あり、スミウキゴリは白斑のみ、イサザは黒斑のみです。これだけで成魚は同定できます。 従来の図鑑等で記述の多い、尾鰭基底の黒色斑の違いは、個体差が著しく例外(丸形のシマウキゴリ)が少なくありません。 また、両眼間隔と眼径の長さの比較も、例外(両眼間隔は眼径より長いウキゴリ)が少なくないため、 これらは決定的な特徴としては使えないと判断しました。

幼魚以下
どちらもウキゴリです。左がビリンゴ、右がスミウキゴリと誤同定されやすい。

成魚と違って幼魚以下の同定は難しく、胸鰭基底の白斑や第一背鰭後部の白黒斑は使えません。 生育段階ごとに特徴を覚えておかないと同定できません。 イサザの幼魚は7月頃に琵琶湖へ潜らないと、出会うことは滅多にありません。 琵琶湖流入河川で捕れた幼魚は、まずウキゴリと思って良いです。 ウキゴリとスミウキゴリは、ここだけ見れば良いという、同定ポイントは無く、総合的な判断が必要です。 尾鰭の模様は目立つため、惑わされ易いですが、典型的な個体以外は参考程度にしか使えません。 注目するべき箇所は両目間隔で、ウキゴリが狭く、スミウキゴリが広いです。それに伴って吻がウキゴリは尖って長く、スミウキゴリは丸くて短いです。 シマウキゴリは尾鰭基底に黒色で-<模様が出現する個体が多く、それがあることで同定可能ですが、丸形も見られるため、確実ではありません。


参考・引用文献 ※不備がある場合は改めますのでお手数ですがご連絡ください。
□ 日本産魚類検索 全種の同定 第三版 中坊徹次編 東海大学出版会 2013.2.26
□ 新装版山渓フィールドブックス(2) 淡水魚 森文俊・内山りゅう 山と渓谷社 2006.8.23
□ 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚 改定版 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編 監修 山と渓谷社 2001.8.25
□ 第46回魚類自然史研究会要旨集 2008.03.15